ルミガンを使っているとき、どのような副作用が起こるのか心配ですよね。特に、個人輸入でルミガンを入手し、まつげ育毛に使っている人は注意が必要です。個人輸入した医薬品で副作用が起こっても自己責任なので、リスクをしっかりと理解しておかなければなりません。
このページでは、ルミガンを使うときにもっとも気になる副作用、色素沈着の原因や対策を説明します。また、まぶたのくぼみや充血といったその他の副作用についての原因や対処法、妊娠中や授乳中のルミガンの使用に関するリスクなども見ていきましょう。
もくじ
ルミガンの副作用・色素沈着の原因と対策

ルミガンを使っている時、もっとも心配になる副作用は色素沈着でしょう。
ここでは、色素沈着が起こった人の割合や原因を紹介します。また、色素沈着を引き起こさないための対策も解説します。
ルミガンで色素沈着が起こる割合

「ルミガン点眼液0.03%」の開発元である千寿製薬は、ルミガンの臨床試験を実施しています。まぶたに色素沈着の副作用が起こった割合は、全体で19.20%とされています。
つまり、ルミガンを使った人のおよそ2割が、目の周りの色素沈着を訴えたということです。このことから、副作用の発症率としてはやや高めと言えます。
また、この臨床試験で色素沈着が起こった割合は、点眼薬として使った場合の結果です。まつげ育毛剤として直接まぶたに塗った場合は、色素沈着が起こる確率がさらに高まると考えられます。
色素沈着はビマトプロストの作用で起こる

ルミガンを使って色素沈着が起こる原因は、有効成分であるビマトプロストにあります。
色素沈着の原因は、シミやくすみの元凶としても知られるメラニン色素です。ビマトプロストには、このメラニン色素を増加させる働きがあります。
メラニン色素は通常、肌のターンオーバーによって自然と排出されます。しかし、ルミガンを毎日のように継続して使っていると、新陳代謝が追いつきません。その結果、メラニン色素が残ってしまい、色素沈着が起こります。
ルミガンによる色素沈着は治る?対策は?

ルミガンによる色素沈着は、治すのは難しいと言えるでしょう。そのため、色素沈着を予防することがとても大切です。
色素沈着を予防する対策は、大きく分けて2つあります。まつげ育毛剤として使うなら、目元にワセリンを塗りましょう。点眼薬として使うなら、正しい使用法をマスターすることが大切です。
まつげ育毛なら目元にワセリンを塗る
ルミガンは水分が多いので、目の周辺に水を弾くワセリンを塗っておくことが、色素沈着の有効な対策となります。
ルミガンをまつげの根元に塗る際は、うっかり目の際に付着させてしまいがちです。まぶた全体にワセリンをしっかり塗っておけば、もしルミガンがはみ出ても色素沈着は防げます。
さらに、ワセリンで保護することで、すでに色素沈着してしまった部分の治りも早まるでしょう。
点眼薬として正しい使用法をマスターする
ルミガンを点眼薬として使用する場合、正しい点眼方法を身につけることで、目の周辺への付着を防止できます。具体的には以下2つのポイントをおさえましょう。
- 下まぶたを指で軽くひっぱってポケットになった部分に点眼
- 点眼後はまばたきしない
特に、まばたきをすると、涙と一緒に成分が流れてしまう可能性があります。点眼後は目をパチパチしないよう注意してください。
ルミガンのその他の副作用

ルミガンの副作用は、色素沈着以外にも複数あります。さまざまな副作用の可能性があるため、ルミガンを使う前に知っておきましょう。
ここでは、代表的な副作用5つに加え、ルミガンで失明するのかについて説明していきます。
虹彩色素沈着
ルミガンを使用することで、まぶたに限らず虹彩にも色素沈着が起こる可能性があります。
虹彩とは、角膜と水晶体の間に存在する薄い膜のことで、目に入る光量を調節する役割を担っています。この虹彩の色が黒く、濃く見えるようになります。
もともと黒目の日本人の場合、虹彩色素沈着が起こってもさほど目立ちません。とはいえ、もし症状があらわれた場合は使用を中止し、医師に相談しましょう。
まぶたのくぼみ

ルミガンの眼圧を下げる作用により、まぶたがくぼむ場合があります。
ルミガンは、もともと緑内障で高まった眼圧を下げる薬です。眼圧が高いほど眼球は硬くなり、過剰な高さになると視神経に障害を起こします。これによって視力が下がってしまうので、ルミガンで眼圧を下げて悪化を防ぎます。
しかし、正常な眼圧の人がルミガンを使うと、眼圧が下がりすぎるのです。眼圧が下がると眼球がやわらかくなるので、まぶたの支えが弱まり、まぶたがくぼんでしまうと考えられます。
目のかゆみ

ルミガンを使うと、血行促進の作用やアレルギー反応により、目元にかゆみを生じることがあります。
血行が促進されると血流が増加しますが、血管は細いままなので、血液と血管で摩擦が生じます。この摩擦でかゆみが起こるのです。とはいえ、しばらくすると血管が広がるので、かゆみも治まります。
ただ、まれにアレルギー反応により、かゆみが引き起こされる場合もあります。かゆみがいつまでも治まらないときは、ルミガンの使用を中止して病院を受診しましょう。
かゆみが出た時に目をこすってしまうと、角膜を傷付ける恐れがあるので注意してください。かゆみは患部を冷やせば軽減されるので、応急処置として目元を保冷剤で冷やすとよいでしょう。
充血

ルミガンを使用していると、白目が充血することがあります。
これは、ルミガンが血管を拡張させ、血流を良くする作用を持つからです。目の充血は一時的な症状なので、時間の経過とともに治まります。まつげ育毛剤として使う場合は、液が目に入らないようにしましょう。
眼瞼下垂
ルミガンを使用すると、眼瞼下垂が起こる場合があります。
眼瞼下垂とは、上まぶたが垂れ下がった状態を指します。眼瞼下垂が起こると、外科手術を行わなければ元に戻すのは難しいとされています。
治療が難しい副作用なので、上まぶたが少しでも垂れ下がっていると感じたら、悪化しないよう使用をやめましょう。
ルミガンを使っても失明しない

ルミガンによって失明するという副作用は、現在のところ確認されていません。
ただし、1%未満の確率ですが、視力の低下が起こる恐れがあります。ルミガンの添付文書には、水晶体がない目や眼内レンズが入った目では、視力低下が起こりやすくなるとあります。白内障の治療で水晶体を摘出したり、眼内レンズを入れたりした人は注意が必要です。
目が健康な状態であれば、視力低下を過度に心配する必要はないでしょう。ルミガンを使っていて急に失明する心配もありません。
妊娠・授乳中にルミガンを使うのは避ける

妊婦や授乳婦がルミガンを使うと、赤ちゃんに悪影響を及ぼす危険性があります。そのため、妊娠中や授乳中には、ルミガンの使用は避けるべきです。実際にどのようなリスクがあるのか、妊娠中と授乳中の影響について順番に説明します。
妊婦のリスク

ルミガンを妊婦が使うと、胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。以下、ルミガンの添付文書より引用文で見てみましょう。
妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験では、妊娠マウスに0.3mg/kg/日以上を経口投与した場合に、流産及び早産が認められ、妊娠・授乳ラットに0.3mg/kg/日以上を経口投与した場合に、胎児毒性(胎児死亡等)が認められた。なお、これら所見が発現した際の親動物における曝露量(AUC)はヒト点眼時の68倍以上であった。
出典:ルミガン点眼液0.03%|独立行政法人医薬品医療機器総合機構
この引用文によると、妊娠中にルミガンを使うことにより、流産や早産、胎児の死亡などが起こっています。
ただし、これらは動物実験であることに加え、人間が点眼したときの68倍もの成分が動物の体内に入った結果です。ルミガンをまつげ育毛剤として使う場合は皮膚から吸収されるため、上述の実験よりも危険性は低いと考えられます。
しかし、大きなリスクが懸念される以上、妊娠中または妊娠の可能性がある場合、ルミガンの使用は避けるべきでしょう。
授乳中のリスク

授乳中にルミガンを使うと、成分が赤ちゃんの口に入ってしまう危険性があります。ルミガンの添付文書から、実験の結果を引用します。
動物試験(ラット:静脈内投与)で乳汁中へ移行することが報告されている。
出典:ルミガン点眼液0.03%|独立行政法人医薬品医療機器総合機構
動物実験では、赤ちゃんが飲む母乳のなかに、ルミガンの成分が混ざってしまうという結果が出ています。この実験は血管内にルミガンを投与したときの結果なので、まつげ育毛剤として使った場合はわかりません。
しかし、医薬品の成分が赤ちゃんの口に入ってしまう可能性があるため、授乳中の使用は避けるべきでしょう。どうしてもルミガンを使いたい場合は、授乳そのものを中止する必要があります。
まとめ
ルミガンを使っていると、目の周りなどの皮膚に色素沈着が起こる場合があります。まつげ育毛剤として使うなら、まぶたにワセリンを塗って対処しましょう。
まぶたのくぼみなど、そのほかの副作用が起こったら、症状によって使用を中止する、様子を見るなどで対処してください。ルミガンの使用によって失明した人はいないので、過度に心配する必要はありません。
妊婦や授乳婦は、ルミガンの使用を避けましょう。動物実験ではありますが、早産や流産、胎児の死亡などが確認されています。母乳にルミガンの成分が混ざる場合もあるので、基本はルミガンを使ってはいけません。